
3歳年上の優しく笑顔のかわいい彼。
彼と出会ったのは3年前の冬。少女マンガに出てくる物語の主人公のような出会いだった。
彼氏もいなくバイトに明け暮れている日常が彼に出会いガラリと変わった。
その日はとても寒くて手が悴んでいた。
駅の待ち時間に携帯を触ろうとしカバンから取り出した時に落としたハンカチに私は気づかなかった。
そのまま電車に乗り込んだ私の後を追い乗り込んできたのが年上の彼だった。
「これ、落としましたよ。」と声をかけてくれた。落ち着いた声、背が高くスーツを綺麗に着こなした彼。
私は驚いたと同時にビビッときたのであった。
私はきっとこの人のことが好きになる。そう思った。
「ありがとうございます。助かりました。」とお礼を言い、「もし宜しければお礼させてください」と言った。
今までそんなことを言ったことはない。けど、このチャンスを初めてものにしたかった。
必死だった。
いつもなら「ありがとうございます」だけで終わるのに、自分から連絡先を渡したのは初めてのことであった。
それから何日か経ち夜ご飯を食べに行った。
彼は私より3つも上ですごく大人びていた。
選んでくれた店もセンスが良く、同級生となんか比べものにならないくらいお洒落で落ち着いた空間。
何もかもが初めてで少し緊張していた私をほぐそうと冗談を言ってくれたりするとても優しい人だった。
話もとてもおもろしく、就活をしている私にアドバイスをくれたりととてもタメにになった。
その日は私たちは一線を超えてしまった。
そうして私の初体験はあっけなく終わった。
幸せだった。
すごく痛かった。でも彼が触れてくる指、何度もキスをした唇、いきそうになると苦しそうにする顔。全てが愛おしくて、幸せだった。
私はこれから付き合って幸せになれると感じた。
でも、現実は違った。
あれから週に2、3回会うようになりそのたびに身体を何度も重ねた。
何度もキスをしてくれて、かわいいなど嬉しい言葉もたくさん言ってくれた。
私が「好き」「大好き」と言っても、彼からの「好き」その一言だけは一度も言われたことがなかった。
だけど、私はこれでもいずれは彼の彼女になれるとまだ思っていた。
ある日、ふとSNSを見ていた。
すると、彼のアカウントを見つけた。
その時、そういえば交換してなかったなあと興味本位でアカウントを押した。
鍵は付いていなかった。
彼のアカウントには、彼女との写真で溢れかえっていた。
私は頭が真っ白になった。
確かに、彼女がいる?とかそういう話はしていなかった。
でも、部屋には女の気配も全くなく、勝手にいないと勘違いしていただけだった。
彼に彼女がいる?と一言聞いていたら、私は身体を許していなかった。
昔から彼女がいると分かっていたら好きになりそうでも、絶対に気持ちを制御していた。
なのに、ビビッときたのは彼が初めてだった。
もし、彼女がいると分かっていても、身体を許していたに違いがない。
ただ、私だけが彼に夢中になって、彼は勝手に私のものだと勘違いして、浮かれていた自分が情けなくなった。
辛くなった、泣きたくなった。
なのに、どうしてこんなにもしんどいのに涙は出ないのだろう。
その日、私は彼の連絡先を消した。
もう、何もかもがどうでもよくなった。
私は彼以外の人とたくさん身体を重ねて、寂しさを埋めた。埋めたつもりだった。
でも、ことが終わるとすぐに虚しくなった。
少しでも彼の中に私はいたのかなと、考えてしまう。
私は冬は寒いが好きだった。
夜になるとイルミネーションで町はいっぱいになり、とても綺麗で、いつか大好きな彼と一緒に見て、過ごして幸せになりたいってずっと思っていた。
でも、今は冬が大嫌いだ。
寒い冬が来るとまた彼のことを思い出す。
また会いたいと、彼は私のことなんかもう忘れているし、ただの性欲処理に使っていた道具だ。
けど、やっぱり寒い冬がくるとまた会いたくなる。


