
私の初体験は大学3年の冬でした。
父親がカメラマンをやっていた影響で、幼い頃から写真に触れてきました。
大学に入った後も写真を続けていましたが、当時は女性などには無縁で、寂しい高校時代を過ごした後でしたので、ある種「彼女を作る」ことは半ばあきらめ気味の毎日でした。
「写真をやっていてもモテないよな・・・」と感じつつも、今までスポーツなどもやったことはなく、スポーツ系のサークルに所属する気も起きませんでした。
ある日、学部の友人と、「写真のサークルを立ち上げよう!」と話が盛り上がり、友人が部長、私が副部長としてサークルを立ち上げました。
歴史の浅い大学でしたので、どこにでもありそうな写真のサークルが無かったのです。
1年目は入部希望もおらず、2人だけでの活動となりましたが、男2人旅のような形で各地の写真を撮っていたので、非常に楽しかった記憶があります。
新入生で女の子が入ってきて下心が…
転機が来たのは2年目の新歓の時期でした。新入生が4人も入部希望をしてくれたのです。(男2名・女2名)
自分たちが立ち上げたサークルに、入部希望をしてくれただけでもうれしかったのですが、当時は下心もあり、女性の入部希望があったことは特に嬉しく思っていました。
これまでは男2人のみの大変むさくるしいサークルだったので、イベントを企画するまでも無かったのですが、人数が増えてきて、これはいよいよイベントを企画したり、撮影会を開いたり、展示会を開くなど、本格的な活動に息巻いていました。
イベント第1弾として、外部施設を使用した写真の展示会を企画しました。1人あたり3枚をノルマに撮影しようとの企画です。
3枚撮影するのに、せっかくサークルに所属しているのだから、グループ撮影会などの企画も面白いのでは?と発案し、第1弾グループ撮影会の場所として、横浜の赤レンガ倉庫を選びました。
建物の趣きがあるのと、道中に撮影スポットが多々あることを理由として、場所選びをしました。
新歓の時期から時間が経ち、6月、電車で向かい、駅にて集合し、いよいよグループ撮影会が始まりました。
ゆっくりと撮影しながら周り、途中にはみなとみらいなどもありますので、観覧車などにも乗りながら、楽しい時間を過ごしました。(恥ずかしながら、今まで女性とグループで遊ぶなどということもなかったのです・・・。)
夜景撮影なども楽しめますので、夜まで撮影し、遊び、その日は解散となりました。
後日、撮影をした写真を持ち寄り、見せ合う場を設けました。その場である女の子(Aさん)に、「先輩の写真、好きです!」と言ってもらいました。
その瞬間から、私はAさんを意識するようになってしましました。
写真が好きですという言葉が、私のことが好きですという風に、勝手に脳内変換されたのです。
ただ、今まで、女性とあまり接触してこなかった私ですから、どうアプローチしていいのか、なんと告白していいのかわかりませんでした。
その後もサークルで飲み会、イベントなど企画したのですが、私が一方的に意識するばかりで、むずがゆい日々を送っていました。
転機は大学2年の冬。
私と部長とで、雪の撮影も兼ねたスノボー旅行が面白そうと企画を立て、実行したのです。
私は、写真の他にスノボーも小さい頃から家族で連れていってもらいましたので得意でした。
気になっていたAさんはスノボーの経験がなく、完全な初心者でした。
私が教育係ということで、Aさんに付きっ切りで最初の体制から滑り方までレクチャーを行いました。
このイベントから、私とAさんの距離は一気に縮まったのだと思います。
翌年の春、私はついに授業が終わった後、Aさんを呼び出して人生初の告白をしました。
結果は即答でOKをもらい、家に帰ったあとは涙が出るほどうれしかったことを覚えています。
記念すべき初デートの場所は、最初のグループ撮影会で行った横浜のみなとみらいを選びました。
ショッピングや写真の撮影を楽しみ、今までは風景しか撮ってこなかった人間ですが、人生初の彼女をモデルにした人物の撮影もできとても充実していました。
当時私は一人暮らしをしていましたが、彼女を家に呼ぶ勇気がまだなく、外での撮影・遊びを中心に毎日を過ごしていました。
写真サークルでは、あえて付き合っているという事実を隠していました。(部長も彼女が出来たことがなかったため、申し訳が立たなかったのが理由です)
ですので、学内では2人でいることを見せず、大学から離れたところでよく会うようになりました。
彼女が家に遊びに来る。。。ということは。不安と期待が入り混じる。
さらなる転機はその年の冬でした。
彼女が料理が得意なので、私の家に遊びにきて料理を作ってくれることになったのです。
一人暮らしの家に彼女がくる、正直、私は期待と不安が入り混じっていました。
今まで女性経験がなく、リードすることができない私に彼女はどう思うか、気になったのです。
彼女の恋愛遍歴は聞いていませんでしたので、失望させるわけにもいかないという思いと、ついに卒業ができるという嬉しい感情が入り混じっていました。
そんな感情が入り乱れつつ、当日を迎えました。
美味しい料理を作ってもらったあと、人生で一番勇気を出し、彼女の手に触れ、ついにその時を迎えました。
イメージしていた行為をそのまますることはできず、あまりにも下手で泣きそうになりましたが、彼女はやさしく私を抱きしめてくれました。
彼女も過去に恋人はいなかったようで、初めてのようでした。
クリスマスの少し前で外は非常に寒かったことを明確に覚えています。
その後、クリスマスも一緒に過ごし、私たちはその後、結婚しました。
今まで女性経験がなかった私を好きになってくれた彼女、写真のきっかけを作ってくれた父親、一緒にサークルを立ち上げてくれた友人、誰か一人欠けていれば、私のこの出会いもなかったので、その出会い達に感謝しつつ、初体験のエピソードは終了です。
ちなみに、今は子供2人に恵まれ、幸せな家庭で暮らしています。
子供の写真も彼女とともに撮影していますので、アルバム一つひとつに思い出がどんどん増えていくことが今の楽しみになっています。
父親も健在なので、親子3世代でカメラ小僧として活動しています。