【略奪愛】彼の奥さんは離婚を嫌がり、協議離婚に向けての日々。略奪愛をまさか自分がしてしまうとは。

略奪愛

 

当時20代半ばだった私。

彼氏もいて都内で一人暮らしをしているごく普通の会社員でした。

お相手は当時30代半ば。いつも機嫌が悪そうで、忙しくて、眉間にシワが寄っているような人でした。

 

 



既婚者なのに毎日毎日夜遅くまで会社に残って仕事しているような人でした。 実際仕事に慣れて回りの環境、人間関係に目がむけられるようになってきた頃には彼はただ不愛想な人なのではなくただ真面目に仕事をしているだけの人だと理解できるようになっていました。
またそんな人柄が父に似ている気がしてなんとなく好感を持つようになっていました。

 

ある時出張で一緒に行くことになった時、初めて一緒に食事をしました。歳が一回りも離れているため共通の盛り上がる話があるわけでもなく、ただただ仕事のことについて会話をするものでしたが、私にとっては他部署のベテランの方を話をする機会が今までなくとても新鮮なものでした。

 

会社の中に私の歳の若さの社員はとても少なく、いつも小娘扱いに慣れていた私は、私の拙い仕事への思いを真面目に聞いて返事をしてくれる彼がとても新鮮で益々高感度が上がるばかりでした。

そんな食事での時間をきっかけに、私は話を聞いて、考えて、しっかりと返答をくれる彼に積極的に話をするようになりました。

 

また、彼も最初こそ歳の離れた私に人見知りをしていたようですが出張が終わる頃には同僚として他部署の人間としてお互いがどのように取り組めば上手く乗り越えられるのかを積極的に意見交換できるほどにまで話せるようになりました。

 

私はその時同じ部署内の仕事の人間関係に強く不満を持っていました。 歳の離れた先輩方、私の直属の上司と上司の同年代の先輩方で私への教育方針がかみ合わず、派閥化していたのです。

直属の上司はまず言われたことをそのまま仕事してほしいタイプ。他の先輩方は自分なりの考えで仕事してほしいタイプ。

 

まだ社歴が浅く若い私としては基礎が出来ていない分、まずは言われた仕事をしっかりこなす。という直属の上司の方針に異論はなかったのですが、他の先輩方はそれが納得できず上司がいないタイミングを計っては私に「なんで考えて仕事できないわけ?」と嫌味を言ってくる環境でした。

 

弁解や状況報告をしても直属上司ではない先輩方からしたらそれは「口ごたえ」としてしかみて貰えず。直属の上司はただ与えた仕事さえこなしていればよいという状態。

 

毎日小さなわだかまりを貯め、自分の意見や気持ちを話すことも出来ず苦しい毎日でした。 そんな環境の中で初めて仕事への気持ちや意見を聞いてくれる。受け止めてもらえる人がいたことに私は舞い上がってしまったのです。

 

 

そんなことがあった出張を終えてしばらくすると、私が元々もっていた技能を買われ部署が移動になりました。

そこでは他社から転職されて来た方が上司となり、彼とも仕事で直接かかわりがあるような仕事になりました。

すでに基礎を身につけていた私は新しい上司と共に仕事が楽しくて仕方ない時期だったと思います。

忙しい彼とそれでも打ち合わせの時間を作るためランチを一緒に取るようになった頃、その頃にはお互いのプライベートも話すようになっていました。

私が当時付き合っていた彼氏と喧嘩したこと、彼も奥さんとうまくいっていないことをお互いの目線からどう思うか話したりするようになっていました。

そのころには今まで「他部署のすごく年上の人」という関係性から「信頼している同僚」という位置まで変化していました。きっと彼もそうだったのでしょう。

そんなお互いの関係性の変化の自覚をしないまま・・・ 今思えば私は自分のことしか見えていませんでした。

 

また、どのような性格の人がそのような物言いで相手に響くのか。そんな感覚的なことを私はまだ未熟で理解していなかったのです。

とある日、彼がひどく落ち込んでいるように見えたため話したほうが楽になるのでは?と話を聞いたことが始まりでした。

 

奥さんと些細なことで喧嘩し、ずっと冷戦状態だというのです。

私は独身。

彼氏がいても結婚の話なんてまだ出てこないような状態でした。そんな身でありながら彼の力になりたいと思った私は自分の価値観だけで思ったことを言いました。

 

夫婦なのだから、話せばお互い理解し合えると。

話をすることを逃げてはいけない。とそのようなことを言ったのです。

 

好感は高くとも相手は既婚者。私にも彼氏はいるし彼は恋愛対象ではありませんでした。その時は本当によかれと思ってそう言ったのです。

 

それから1週間くらい経って改めて話を聞いた時、私は背筋が凍りました。

 

自分の言ったことの重さ。彼にとっての私の影響力。

 

今更分析したって後悔したって遅い。 彼は奥さんと真剣に話をする機会を設け、離婚すること決意した。

奥さんが言った些細な一言が耐えられないほどつらいものだった。と私に話してきました。

 

私は知らなかったんです。「夫婦」って言っても多種多様。本当に心がつながった夫婦もあれば、うまくコミュニケーションが取れない夫婦もある。結婚していても気持ちが一方通行の夫婦もいる。

 

そんなことも知らずに話し合えばいい。本音でぶつかり合えばいいなんてことを言ってしまったのです。 彼は不器用な人でした。すらすらと言葉が出てくる人ではなく、軽口をたたいたり、冗談を言うこともしないような人。

 

そんな人が真剣な話合いをして、奥さんと落としどころを付けられなかったらそれは「今後も折り合いがつかない人」になってしまう。

それくらい真面目、悪くいえば融通が利かない人。本当に不器用な人。そういう人であることを知っていたのに、「解決するまで本音で話しあえ」なんて言ってしまったのです。

 

彼もまた、私と仕事に対して討論できることが新鮮だったそうです。彼を取り巻く環境も言いたいことが言えないようなものだったそうで、どんな話も楽しそうに聞いてくれる私をいつのまにか気に入ってくれていたそうです。

彼にとっての私の存在はいつのまにか大きく影響を受けるものになっていた事に私は自覚がありませんでした。

いえ、他の同僚たちが彼と仲いいね、あんなに表情がある彼を見たことがない。そんな風に言われていたので自覚がないわけではなかった・・・ ただ他の人とあまりしゃべらない彼が自分には話しかけてきてくれる優越感のようなもので本当の関係性を見誤っていたのかもしれません。

 

そこから彼の協議離婚に向けての日々が始まりました。

 

元々帰りは遅い人でしたが、さらに帰ることを嫌がり仕事が終わったあと私と食事をして家まで送り、遠回りして帰宅する。という日々が始まりました。

 

私に恋愛感情としての好意があることを打ち明けられました。 私は最初こそ夫婦仲を壊したきっかけを作った罪悪感がありましたが、いつのまにかその好意をうれしく思うようになり彼氏と別れました。 両想いになってからが辛い日々でした。 彼の奥さんは離婚を嫌がり、話し合いにならず。仲介者を入れて話し合いをしても奥さんも彼も自分の希望を言うだけで平行線。

 

とうとう彼は別居に踏み切り家を出ましたが、話し合いは遠ざかる一方。でも別居をしたことで私と彼はお互いの家を行ったり来たりと距離が近づいていました。

 

そんな終わりが見えない日々がどんどん過ぎていき私は恐怖でした。まるで抜けられない沼に腰まで浸かった気分でした。

外では奥さんが探偵などを雇っているのではないかと背後が気になり、友達に打ち明けても困った顔されて心配され、でも彼とはどんどん距離が縮まって恋人になっていく。

何度もスリルと恋心が勘違いしているだけなのでは!?と自分を振り返ったりしましたが、やはり結論は同じ。

 

彼を本気で好きになっていました。 本来あまり人と積極的にかかわりを持たない彼は私との関係が深くなるほど、表面に出てしまいました。

会社でも私を見かけると顔がほころんでしまうほどに。

いつも眉間にしわを寄せているような人が一人の若い女性に明らかに違う態度をとるのですから当然噂になってしまいました。

 

離婚していないのに明らかに態度がおかしい。
あの二人・・・という感じに・・・

 

自分の気持ちは盛り上がっていくのに、自分の環境はどんどん良くない方へ進んでいる気がして本当につらい日々でした。

何度も「不倫」「結末」と調べては少しでも救いのある体験談はないかと思いましたが、悪い結末ばかり。

唯一救いだったのは、彼が本気で自分を愛してくれている実感があったからかもしれません。なかなか離婚の話し合いが進まず私は何度も八つ当たりしました。

 

かなり情緒不安定だったと思います。 そんなひどく荒れた私ですら見捨てることなく向き合ってくれたのが本当に唯一救いでした。

 

そんな暗黒な日々でしたがとあるきっかけで大きく進展します。 最終手段として彼は弁護士に離婚相談にいき、弁護士から奥さんへ連絡が入ったことでとんとん拍子に事が進んだのです。

 

奥さんは彼の婚姻前のお金をほとんど使ってしまっており、その件を弁護士に指摘されてからは早いものでした。 とはいえ離婚を決意してから離婚できるまでおよそ4年は掛かりました。

 

今は夫婦として一緒にいます。

 

略奪愛をまさか自分がしてしまうとは本当に思いもしなかったです。

 

彼は気持ちや不満を溜めて溜めて・・・ちょっとした些細な行き違いで「離婚」となってしまう人なのだとちゃんと理解した上で一緒に生きていこうと思います。

相変わらず不器用な彼なので日々の不満が塵積もらないよう気持ちを確認し合って生活しています。

結婚してしばらく経ち、今でも夫婦仲はとても良く、とても幸せな日々ですが時々ふと昔の固い表情のまま不器用に笑う彼の写真と、今感情が表情に強く反映した笑い顔を見比べてはほっとした気持ちになります。

 

相手にどう影響するのか、夫相手でも、友達相手でもしっかり関係性を鑑みたうえで自分の言葉を発していかなければならないと日々思っています。

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